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Feb

2024

2020年9月に日本で発売された「Audi e-tron Sportback」の後継モデル、2023年夏にアウディのフラッグシップ電動SUVとして発売されたのが、「Audi Q8 e-tron / Audi Q8 Sportback e-tron」だ。
今回は従来モデルより各所がアップデートされたAudi Q8 e-tronを紹介していこう。

●ラインナップ

Audi Q8 e-tronは、SUVデザインがクーペスタイルのAudi Q8 e-tron Sportbackの2種類がラインナップされている。
さらに、「Q8 50 e-tron」と「Q8 55 e-tron」の2種類があり、駆動用バッテリー容量と一充電走行距離、最大出力の値が異なる。
また、すべてグレードはS lineとなり、今回ご紹介するモデルは「Audi Q8 55 e-tron quattro S line」だ。

●エクステリア

まずフロントを見てみると、Audiデザイン言語に準じており八角形のシングルフレームグリルが配置され、Audiモデルと一目でわかるデザインとなっている。
さらにシングルフレームグリルの周りをグロスブラック色で囲っており、ガソリンモデルとは異なった先進性をひと目見ただけでわかるデザインとなっている。(グロスブラック色のシングルフレームグリルはオプションとなります)

さらに、エンブレムをみると新しいデザインのAudi ringが装着されている。従来モデルに装着された立体的なものとは異なり、フラットデザインなのも特徴的だ。
エンブレム1つにしてもAudiが描く電気自動車のコンセプトを体現している。

両側に配置されたフロントバンパーダクトは先代の「Audi e-tron」よりも大きくデザインされており、スポーティーさも演出している。このダクトは前輪タイヤハウスまで繋がっており、フロントで受けた風をサイドへ流す風の通り道をつくる、エアロダイナミクスを狙ったものである。

サイドをみると、2,930mmのゆとりあるホイールベースにより、ラグジュアリーな佇まいとともに、SUVらしいフォルムを醸し出している。
また、リヤにかけて膨らみをもたらしたプレスラインは力強く美しいデザインとともに、リヤへ風を流すエアロダイナミクスを狙ったものだろう。

さらに、車の乗り降り時に目に入るBピラーには、Audiとモデルネームである「Q8 e-tron quattro 」が刻まれている。

リヤをみると、最初に目に入るのが一直線に結ばれたLEDライトストリップだろう。
両端はLEDが上下に伸びるラインがあり、ボディラインに合している点がデザイン性を感じる。
Sportbackモデル場合はよりリヤが流れるようなクーペスタイルとなっており、SUVながらスポーティーさを感じることができるだろう。

リヤディフューザーをみるとスポーツモデルに採用されていそうなデザインだが、これもエアロダイナミクスとしてボディと路面の間に入り込んだ空気を効率よく後ろに排出するほか、ボディが路面への吸い付きをあげるためにも設置されているのだろう。

ちなみに、車両裏側を見るとデインプルと呼ばれる「くぼみ」が多く配置されている。(イラスト画像をご覧ください)
これは正面から受ける風を後方にいかに効率的に流すか考えられた設計であり、Audi e-tron GTでも採用されているものだ。
こうした見える箇所だけでなく、見えにくい箇所においても車両に受けた空気を効率的に後方へ流し空気抵抗を減らしている細かい工夫は、試乗する前にぜひ確認してほしい。

●タイヤ・ホイール

ホイールはオプションの「10スポークローターデザインアンスラサイトブラックポリッシュト」が装着され、サイズは9.5J x 21inchで、タイヤはブリヂストン社製の「ALENZA 001」 265/45R21であった。
なお、標準装備は20inchの「5アームダイナミックデザインコントラストグレー」が装着される。

●インテリア

運転席まわりは、Audiモデル共通で導入されている、水平基調のデザインが採用されインテリアの統一感がある。
運転席から助手席にかけて水平に広がるダッシュボードは、SUVモデル特有の車高の高さを相まって視界が開けており非常に運転しやすいレイアウトだ。

運転席は、高解像度12.3インチカラー液晶フルデジタルディスプレイによって運転手に必要な情報を表示させることができる。表示はステアリングホイールボタンによって変更できるため、好みに応じて表示を変えることができる。

アナログメーターのような配置から、マップを大きく表示させることも可能だ。実車でぜひステアリングホイールボタンを操作し、様々な表示を見てほしい。

センターコンソールには、2つのタッチ式ディスプレイ「MMIタッチレスポンス付きMMIナビゲーション」が配置され、10.1インチのアッパースクリーンと8.6インチローワースクリーンが装備されている。

通常ローワースクリーンはエアコン温度操作などができるが、ナビゲーションにおける目的地検索などの際は、日本語入力の場合は五十音が表示されキーボード代わりとなる。
また、手書きモードでは直接文字をスクリーンになぞることで文字認識される。

ちなみに各機能が、物理ボタンではなく設定メニュー内に設置されていることも多く、停車中にブレーキペダルを踏まなくてもブレーキが保持される「オートホールド機能」や、「ステアリングホイールヒーター機能」(インテリアパッケージオプション装備)などはエアコン機能内にある。
ナビゲーション含め、各種設定や操作方法はぜひ実車で確認してほしい。

なお、インテリアパッケージオプションを選択すると、後席のエアコン操作が装備され、フロント・リアを4ゾーンデラックスオートマチックエアコンディショナー機能が装備される。

フロント・リヤシートは、S lineのロゴとともにダイナミカ/レザーで、フロントシートにはスポーツシートが装備されている。

シートにあるシートベルトカバーには廃プラスチック類をリサイクルしてシートベルトバックルカバーとして生まれ変わっている。修理不能なプラスチック部品が顧客の車両から取り外され、金属クリップなどの異物が除去された後、小さな破片に分解され、ケミカルリサイクルによって熱分解油に加工されており、細部まで環境に配慮された車両であることが実車を見て感じた。

ラゲッジスペースは、カタログ値で569ℓ(VDA値)確保されている。(Audi Q8 sportback e-tronの場合は528ℓ)
ラゲッジカバーも装備されているため、車両を停車中にラゲッジスペースのプライバシーは守られるようになっている。もちろん取り外しも可能だ。

リヤシートは2段階でスペースを拡大できるため、用途に応じてカスタマイズできる。リヤシートをすべて倒した場合は、長い荷物や大きな荷物もフレキシブルに積載できる。

なお、両側ラゲッジスペースLEDの横にはリヤシートを前に倒すレバーがそれぞれ装備されており、このレバーを手前に引くことでシートを前方に倒すことができる。後席で毎回操作しなくでも済む便器機能 なので、実車でぜひ試してほしい。

●パワートレイン

Audi Q8 e-tron は、新世代の電動4WDシステムquattroを搭載しているため、前輪後輪にそれぞれモーターを搭載している。
最大出力はブーストモードで300kW、最大トルク664Nmを発生させるモーターはSUVモデルながらストレスなく加速をしてくれる。

また、2基あるモーターは通常はリヤのみ駆動させ消費エネルギーを抑制させることで、鋭い加速時や悪路走行時などはフロントのモーターも駆動させることで安定かつ快適な走行が楽しめる。

Audi Q8 e-tronは全モデルにアダプティブエアサスペンション スポーツを搭載しており、車高と減衰力を自動制御することができる。

車高はアウディドライブセレクトにて調整することができる。
分かりやすいように、一番高い位置と低い位置で写真を撮ってみたが、車両のキャラクターが変わるくらい変化があった。
オフロードなどは車高を高くすることで安心して走行できる車高で、車高が低くすることで高速域等安定的に走りを楽しめるだろう。走りの感触は試乗編でお伝えする。

ここまでAudi Q8 e-tronのエクステリア・インテリアをお伝えしたが、次回は高速道・一般道で試乗した様子をお届けしよう。

●車両スペック

Audi Q8 55 e-tron quattro S line
ボディカラー:プラズマブルーメタリック(オプション)
・インテリアパッケージ
・サイレンスパッケージ
・ダークAudi ring & ブラックスタイリングパッケージ
・アルミホイール10スポークローターデザインアンスラサイトブラックポリッシュト

装備はグレードによって異なります。また、モデルイヤーによって装備が異なる場合があります。各装備や安全機能の詳細はAudi JapanのWebページをご確認ください 。(https://www.audi.co.jp/)

Photos & Text by HY/Audi Japan/Audi AG.